伊豆半島の松崎町に移り住んだ元広告代理店営業が語る、地方移住への心構えと考え方

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伊豆半島の松崎町に移り住んだ元広告代理店営業が語る、地方移住への心構えと考え方
 新型コロナウイルスの流行によって、関心が高まったことのひとつに「地方移住」がある。テレワークやワーケーションなど働く場所を問わない働き方が浸透しつつあるなか、仕事と生活の充実の両立を目指すことに関心を持つ人々も少なくない状況がある。  地方移住にまつわるエピソードは数多くあるなか、ここで紹介するのは、静岡県内で最も人口が少ないという松崎町に移住した、ある40代男性のエピソードだ。 東京から松崎町に移住した神健一氏  話を伺った神健一氏は、もともと広告代理店の電通に在籍し、主に営業として東京での仕事に従事。そこから、2021年1月に松崎町へ移住した。現在はミドルシニア世代のプロフェッショナル人材が集まるニューホライズンコレクティブ合同会社と業務委託契約を結び、東京からの仕事をリモートで受けつつ、伊豆への移住相談などをしている松崎町移住定住促進協議会の会長を務めるなど、地域の活性化の活動も行っている。  松崎町は伊豆半島西海岸の南部に位置し、人口は約6000人。町内に鉄道は通っておらず、新幹線駅がある三島市からは車で約2時間ほどにある。「花とロマンの里」をキャッチフレーズに、風光明媚な自然と港町として栄えた風情を随所に残している街となっている。 街から少し離れると、田んぼが広がる 川も流れている。取材時は冬期だったが、春になると川沿いの木に桜が咲き並ぶ光景が見られるという  そんな松崎町のなかでも、細い山道を車で移動してたどり着くような山奥で、もともと別の方が住んでいた空き家を購入して移住したという。 神氏の自宅敷地内 美味しい食べ物と自然豊かな場所に憧れて移住 ――なぜ、松崎町に移住をしたのでしょうか。  まず将来のことを考えたときに、美味しい食材を使った飲食店を経営する夢を持っていることが背景にあります。会社を辞める前から考えてはいたのですが、自分自身が自然豊かな場所に強い憧れを持っていたのが、移住した理由になります。  移住先を伊豆半島にしたのは、山と海があって水も美味しいですし、質のいい食材が得られやすい場所にしたかったので。あとは、実家が神奈川県にあるのですけど、何かあっても駆け付けられる距離だから、というのもあります。  伊豆半島の南端にある賀茂地区(下田市、東伊豆町、河津町、南伊豆町、松崎町、西伊豆町の1市5町で構成)で探しているなかで、自然豊かな場所への憧れから、自然の中にある家を探していたらここが見つかったので、松崎町に移住したというのが経緯です。 ――この物件を見たとき、率直にどう思いました?  手に負えるかな……という思いは少しありました。実際に暮らしてみると、想像以上に自然をなめていたな、と思いましたね。前に住まれていた方は基本的に家にいて、常に手入れもされていました。初めて見たときはすごく整っていたのですけど、1年のうちに草がものすごく生えてきましたし。  不便はありますけど、ここから見た風景もいいし、水も井戸水だったりで、ピンときた感じでここに決めました。 ――住んでみてのメリットやデメリットはどんなところですか?  私自身、食べ物が好きという前提がありますので、メリットは自然豊かであること、そしてそれは食べ物が美味しいということとイコールになっていますので。それが大きいですね。  デメリットは、あまり感じないですね。しいて挙げるなら、自宅に携帯の電波がかろうじて入るぐらいなので、たまに繋がりにくくなることとか。自然災害は懸念するところもありますけど、それを考え出したらキリがないでしょう。あと、庭の手入れに時間がかかるぐらいです。デメリットと言えばそうですけど、その分贅沢な暮らしができていると感じています。 ――神さんが思う、贅沢な暮らしというのはどういうものですか。  手間や時間はかかるかもしれないけど、丁寧な暮らしができるということです。例えば、果物はスーパーで買えばその場で食べられます。でもここでは、朝に時間をかけてもいで、そして洗って、水分をとって追熟しなければ美味しく食べられない。でもそうして食べた果物を美味しいと感じられることは贅沢だと思います。  魚も一緒ですよね。最近魚釣りをしたのですけど、釣った魚を持って帰って、包丁でさばくのも手間ですし、時間かかります。でも、アジ一匹にしても味が全然違うと感じられるぐらい、すごくおいしくいただけることも贅沢です。  自分の住む場所も少しずつ手を入れて、自分好みに変えていけることも時間はかかりますが、結構楽しかったりします。やりたいようにやれる環境がある、ということが贅沢だと思います。 神氏の家の中。写真奥のほうには、最初から物件に備え付けられていたという薪ストーブがある

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