奪われた2500万円 八十路前に絶望

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奪われた2500万円 八十路前に絶望
「あれから家族は誰一人来なくなった」。自宅で9年前の被害について語る松山さん  だましの「仮面」を次々と変え、巧妙な罠を仕掛け続ける特殊詐欺。無慈悲な犯罪が奪うのは財産だけではない。だまされたことを周囲に非難されて自らを責め、命を落とすお年寄りもいる。静岡県内で暮らす松山妙子さん(86)=仮名=は「家業を再建する資金になれば」との思いから、宝くじの当せん金を受け取る「手数料」として2千万円以上を支払い、詐取された。親族から疎まれ、心を病んだという。死を思いとどまらせてくれたのは、ある住職との出会いだった。住職の元には、自殺を考える特殊詐欺の被害者からの相談が絶えない。(特殊詐欺取材班) 闇バイト求人「ブラックのお仕事でも大丈夫ですか」  「あの時はただ楽になりたかった。家のどこで首をつろうか、ずっと考えていたの」  静岡県内の住宅街にある小さな一軒家。松山さんは年季の入った居間のかもいを見上げた。一つずつ思い出すようにゆっくりと日記をめくりながら、9年前の出来事を語り始めた。  「海外の宝くじが当たりました!」  2014年の初夏。自宅に突然かかってきた電話で男が告げた。もらえる額は数億円。松山さんはうれしくて涙が出たという。 「手数料」に2500万円 親族から非難  当時、父の代から続く家業の立て直しに頭を悩ませていた。老朽化する設備の更新には億単位の金が必要だった。思いがけず舞い込んだ吉報。「安心して息子たちに引き継げる」という喜びが勝り、信じ込んでしまった。  男は当せん金を受け取るための「手数料」を求めてきた。家業の経理を担っていた松山さんは、運転資金のほか、友人からの借金を支払いに充てた。現金を広告チラシに包んでレターパックに入れ、東京の指定された場所に送った。10回ほど繰り返し、気付けば約2500万円を送金していた。迎えた振込日。入金はなかった。夢は幻だった。  失ったのは多額の現金だけではなかった。  「迷惑だ」「何てことをしてくれたんだ」。親族からの容赦ない非難が松山さんを襲った。仲の良かったきょうだいからは絶縁され、隣に住む長男夫婦とも交流が途絶えた。  「私は罪人なのか」―。来る日も来る日もそう自問し、罪悪感を背負い込むようになった。周囲の目を気にして自宅に引きこもるうち、うつの症状が現れた。当時の日記に「くやしさとなさけなさで大声で泣いていた」とつづる。八十路(やそじ)を前に訪れた絶望だった。

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