3.11のデジタルアーカイブ 閉鎖増

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3.11のデジタルアーカイブ 閉鎖増
「久慈・野田・普代震災アーカイブ」の公開停止を知らせる久慈市ホームページの案内  東日本大震災の写真や動画などを収集、公開しているデジタルアーカイブを閉鎖する動きが目立ってきた。運営する自治体や民間団体が、システム更新などに伴う維持管理費の重さを理由に、他の機関にデータを移す例が多い。震災発生から間もなく12年。息の長い記憶の継承を見据え、存続を下支えする技術開発も進んでいる。(報道部・柴崎吉敬) 【表】閉鎖された主な東日本大震災のデジタルアーカイブ ■新たな情報減る  「システム運用上の都合により、次のとおり公開を停止いたします」  青森県の八戸市、おいらせ町など4市町が共同運営する「青森震災アーカイブ」は2021年6月からサイトが閲覧できない状態が続く。岩手県1市2村の「久慈・野田・普代震災アーカイブ」も同年4月に公開を停止。共にサイトを閉じる方向でデータの移行先を調整している。  八戸、久慈両市によるといずれもサーバーなどの更新時期で費用捻出が難しかった。八戸市防災危機管理課の担当者は「震災の記録を後世に残すことは重要だが、日本海溝・千島海溝地震のリスクが迫り、限られた予算で津波対策を講じる必要がある」と説明する。  デジタル時代に起きた震災は、さまざまな人が被災状況や復興過程を写真や動画に記録し、膨大な情報が蓄積された。  国はデジタルアーカイブの構築に予算を投入。多額の補助を受けて発足時の設備が大がかりになったり、経年でセキュリティー面の対策を迫られたりする機関もみられ、維持管理のコストが年々重くのしかかる。  日本赤十字社は、東京電力福島第1原発事故の活動記録などに関するアーカイブを21年3月に閉鎖し、別のサイトに移管。新たに集められる情報が減り、集約をほぼ終えたことを理由に挙げる。 ■意義見いだせず  50以上のアーカイブと連携し、資料約450万点を検索できるポータルサイト「ひなぎく」を運営する国立国会図書館によると、組織内のサイト統合を除き閉鎖した震災アーカイブは少なくとも6件(表)ある。  デジタルアーカイブを研究する東北大の柴山明寛准教授は「自治体などが予算を削ってまで自前のサイトを残す意義を見いだせていない。震災が過ぎ去ったものと思われている可能性もある」とみる。  閉鎖したほとんどの機関は、ひなぎくなどにデータを移す。資料の散逸を防げる一方で、コンテンツのみが引き継がれ、各アーカイブの工夫や地域特性が失われるとの指摘もある。  連携先の相談を受ける国立国会図書館電子情報部の井上佐知子主任司書は「集約され膨大なデータの一部となれば、住民が地域に根差した資料に触れ、伝承する機会も少なくなるのではないか」と懸念する。  既存のアーカイブの運営を助ける取り組みも進む。  柴山氏らは人工知能(AI)で写真などを識別し、検索時に該当するキーワードを自動で割り振る技術開発に挑む。資料を整理分類する作業は煩雑で、タイトルや撮影日など「メタデータ」と呼ばれる資料情報の作成は、著作権処理の手続きと合わせて多大な人件費がかかるとされる。  利用者が目当ての資料を見つけやすいよう検索精度の向上にも努める。柴山氏はアーカイブの認知が進んでいないと強調。記録を有効活用してもらう視点が重要として「国全体で災害アーカイブの在り方や維持の見通しを議論する必要がある」と話す。 河北新報

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[紹介元] Yahoo!ニュース・トピックス - IT 3.11のデジタルアーカイブ 閉鎖増