もう手を染めない 闇バイトの後悔

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もう手を染めない 闇バイトの後悔
男性は自身が逮捕されたニュース映像を見つめ、自分を戒める=2023年2月10日午後6時10分、木原真希撮影  特殊詐欺事件の容疑者として映し出されたテレビニュースを毎朝見返すのが日課だ。警察官に囲まれながら、うつろな表情で歩く自分自身の姿――。思わず目を背けたくなるが、映像をじっと見つめ「もう二度と犯罪には手を染めない」と言い聞かせる。全国で相次ぐ広域強盗事件のニュースを耳にするたびに想像する。「あの日逮捕されていなかったら、もっとひどいことに関わっていたかもしれない」 【写真特集】日本に到着した渡辺、小島両容疑者の様子  関東地方に住む20代の男性は昨年、仲間と共謀して高齢者からキャッシュカードをだまし取ったとする窃盗容疑で逮捕され、懲役3年、執行猶予5年の判決を受けた。一連の強盗事件で逮捕された実行役らと同じく、きっかけは闇バイトだった。  男性は、難病を患い介護が必要な50代の母と2人暮らし。物流倉庫で派遣社員として週6日働いたが、月収は手取り15万円程度に過ぎない。生活費や介護費をまかなうには到底足りなかった。  昨夏のある日、ツイッター上のある投稿が目に留まる。「債権回収役を見張る仕事で高収入。犯罪性はありません」。すぐにダイレクトメッセージで投稿者に連絡を取った。秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」でのやりとりに移行し、翌日、東京都内の喫茶店に呼び出された。  指定された喫茶店に出向くと、「店の奥にいる男に身分証を預けて」とテレグラムで指示された。店にいた男性は「大金を持ち逃げされると困るので個人情報を記録する」と説明し、運転免許証のほか、家族や友人の連絡先までスマートフォンで撮影した。  そのまま喫茶店に一人残されて待機していたところ、テレグラムが鳴った。指示された通り、都内の住所に向かい、そこにある住宅に入っていくスーツ姿の男性を動画に撮って送った。  男性の仕事というのは、キャッシュカードや現金をだまし取る「受け子」の見張り役だった。  報酬は詐取金の3%。言われるがままに動き、報酬は1カ月で約30万円に上った。受け子の監視役以外にも、駅のロッカーから詐取金を回収する役などもこなした。  犯罪だと分かっていた。見張っていた受け子が警察官に身柄を取り押さえられるのを目の前で見たこともある。「今すぐやめた方がいい」と思ったが金銭欲には勝てなかった。  いつしか罪の意識は消え、「自分と母さえ良ければ、被害者なんてどうでもよかった」。  そんな生活は長くは続かなかった。闇バイトを始めて2カ月ほど過ぎたある日の朝、自宅のインターホンが鳴った。玄関を開けると、警視庁の捜査員が逮捕状を読み上げ、乗せられた車内で手錠をはめられた。  「私のせいで犯罪者になってしまった」。母は泣いた。母は病気の体をおして親族に頭を下げ、示談金をかき集めた。そのおかげで被害者からは減軽を求める嘆願書が出た。かつての勤務先の社長も情状証人として出廷し「うちで面倒見る」と訴えてくれた。その結果、執行猶予付き判決となった。  「自分にも支えてくれる人がいた。つらいときはつらいと、早く言えたらよかった」。男性は後悔を募らせる。少しでも帰りが遅くなると「また闇バイトをやっているんじゃないか」と不安に襲われる母を見て、自分の犯した罪の重さを痛感する。  「昨日までまっとうに生きていた人間を、すぐさま犯罪者に変えてしまうのが闇バイト。この後悔を決して忘れたくない」  男性は今日も、犯罪者として取り上げられた自分の姿をにらみつけるように凝視する。【木原真希】

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[紹介元] Yahoo!ニュース・トピックス - 地域 もう手を染めない 闇バイトの後悔